Melty Life
第2章 初デート
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期末考査も終盤になると、ピリついていた校内の空気も、大分やわらいでいた。
あかりが渡り廊下の先に続く二年生の校舎を訪ねると、ホームルームまでの時間を立ち話に費やす上級生らが、教室の外に散らばっていた。
すぐ目当ての相手に会えるんじゃないか、僅かな期待があかりの胸を引き締めたのも束の間、巻いた毛先をくすんだ青に染めた髪の少女の姿は、見つからなかった。
「宮瀬さんっ?」
明るい声音に振り向くと、見覚えのある上級生らが並んでいた。
規則に従順な彼女達は、二人とも黒髪でノーメイク。一人はうなじでシニヨンにまとめていて、もう一人はおさげにしている。おさげの上級生の方は、握った拳を胸に重ねてあかりを見ていた。
言っては悪いが個性の埋没した彼女らを、辛うじてあかりが思い出せたのは、いつだったかの昨年、放課後に駅前で小一時間ほど、同じティーポットのハーブティーを共にした仲だからだ。