Melty Life
第2章 初デート
「内島さん。河合さん。あの節は有り難うございました」
「え?」
「ハーブティー」
「あっ、良いよ~。わたし達が無理言ったんだし」
「それより久し振りに会えたのも、何かの縁だよ。あの……差し出がましいのは分かってる、けど……その……」
おさげ髪の上級生、河合みのりは、だんだんと俯きがちになって、おずおずとした声はすぼんでいった。
先輩というより、可愛い妹。そんな表現がしっくりくるみのりは、あのあとあかりが両親の留守だという彼女の家に招かれた時、話していてると、意外としっかりしている一面も見せてくれたことがある。
みのりがまごつきながら言葉に出しきった用件、改め要望は、LINEの交換だ。
優しく温和な上級生には癒された。水和と匹敵するほど肌は綺麗で、同じ学校という、警戒する理由もない相手の申し出は、受け入れるべきだ。しかしあかりは断った。万が一、水和に誤解されては取り返しがつかない。
「すみません……」
「ううん、じゃあ、今度また家来て」
「それも……。もう、ああいうことやめるって、決めました」
「え……」
「ごめんなさい。花崎先輩のこと、本気になることにしたから」
天衣無縫な少女の顔が、曇った。無垢で無知で、真綿にくるまれてぬくぬくと慈しまれてきた少女の見せる、女の顔。