Melty Life
第2章 初デート
別段、あかりは驚かない。
それはここ一ヶ月内でも、何度も別の少女の中に見てきた気色だ。卒業していった三年生の相手もあれば、これから二年も同級として一緒にいなければいけない、気まずくなるのを覚悟の上で、別れ話をした同級生もいた。
反省したのが遅かった。
同性は特別に尊く感じる。一度きりで構わないとか、遊び相手で構わないと言われれば、うっかり恋人を倣った関係を持ってしまうのは仕方なかった。いや、大多数の感覚の女子からすれば、あかりの多情は許せないことかも知れない。それでも、目前にぶら下がった甘いものを拒めるほど、人間の意思は強くない。
「そ、っか……。花崎さんのこと、好きだもんね。何かあったら相談して?悔しいけど、力になる」
「…………」
「一瞬でもでも気になった人には、幸せになって欲しいから」
何故、人は全てをまるく収められないのか。パズルのピースを、答えに準じて嵌め込んでいくようにではなく、何かを傷つけて、壊さなければ、妥協しない生き道へは進めないのか。
生まれた時から、終わりが約束されているからだ。
生きとし生けるものに限らない、花も、物体すら、いつか朽ちる未来へ向かって存在している。全く非生産的な話だが。
あかりは適当な言葉を返して、今度こそ奥の教室へ向かった。