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また会える日まで

第1章 その時は突然に

Oside



画面を指さした先生が言った言葉









先生「大野さんの足は・・・骨肉腫に侵されています。骨の中に悪性の癌細胞ができるもので

進行するにしたがって、骨の中で腫瘍が大きく成長し、やがて骨の外にまで広がります。

骨の中には血管やリンパ管が通っているので、血液やリンパの流れにのって、他に転移します。

転移しやすい臓器が肺で、最悪の場合、死に直結することもあります。」









骨肉腫…?








先生が話している言葉も頭に入って来ない。






先生「大野さんの進行度数は、ステージ2です。

まだ転移はしてないんですけど、徐々に腫瘍が大きくなっている状態です。」









「そうですか…」









どこか他人事のように聞いている自分がいる。









だって、信じられるわけがない



俺は普通に生きてる。









…今日まで普通に、何もなく。

朝起きて時間がなかったから朝ごはんは食べてないけど

お昼は普通に弁当食って

撮影して・・・



至って普通に生きてきた、つもりだ。







「仕事は…どうなるんですか…」




一番大事なこと

一番大切な居場所





先生「うーん、はっきり言ってすぐにでも入院していただきたいと思うので

仕事の方は活動休止かお休みという形を取ってもらった方がいいかと」









「はあ…わ、かりました…」









先生「ただ、若いと進行が早いです。出来るだけ早く入院してもらいたいので

今日、関係者の方々などに話して明日にでも準備をして来ていただきたいと思います。



大丈夫ですか?」




大丈夫なワケ、ないじゃん




「は・・・い、失礼します…ありがとうございます」









俺は一礼すると診察室を出た。

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