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銀河巡礼

第7章  五の月




旅のお方…
ひそやかな呼びかけは足元から


── 海とはどんなものでしょう


一心に見上げながら
ひと群れのスズランが問いかける


僕は膝をつき
過ぎた冬のにび色の海を
やがて来る夏の海を
歌うように話してみせる


しゃりん、しゃりん
と さざめく花たちの憧れが
どこか切なく胸を揺らす






(了)


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