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銀河巡礼

第10章  八の月




湖のほとりを

ライオンが散歩する



さわさわと風に歌う葦が

鼻先をくすぐり

さざ波が幾重にも岸辺に寄せる


故郷では見たことのないその光景を

彼は静かに ゆっくりと咀嚼して

湖面に揺れる月を飲み込んだ



水の王国を体内におさめた彼は

街はずれのサーカスへと帰ってゆく






(了)




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