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銀河巡礼

第10章  八の月




小さな火花がはぜるごとに

時の歯車がひとつ回り

塗り下駄を履いた素足が

ことさら白く 夜に浮かぶ


八月のこの儀式

厳かに けれど無邪気にはしゃいで

今年は何度めになるのだろう



冴えた月が

かすかに震える君の手元を照らし

やがて最後の一本が

赤い雫をぽとりと落とす


夏が今 眠りについた






~線香花火


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