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銀河巡礼

第29章 三の月 Ⅲ




ーお水をありがとう…



幻聴めいた声に目を落とせば

庭石のたもとに

ちいさな ちいさな 白い花

かがんで触れる指先に

恥じらうように花弁が揺れる



望んでここに咲いたのか

風の吹くままやってきたのか

身を守るすべを持たない可憐な花は

凛として早春の光のなか



永らえよ 命の限り…






〜春光



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