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私のヒーロー

第5章 知らなかった過去

幸せな時間はすぐに壊れていったんだ

次の日クラスに入ると女子から冷たい悲しみに満ちた目が俺に向けられていた

下駄箱にいたときもそうだったけど、俺なんか
悪いことしたっけ?

ぽんっ 携帯の通知を見ると夢からLILINがきていた

『八、今どこ!?』

『え、教室だけど。なんで?』

『今すぐ体育倉庫に向かって』

『なんで?』

『先輩がなるを連れていったからだよ!昨日手を繋いでいるとこ見た人がいたんだって』

そのLILINを見た瞬間俺はすぐに向かった

彼女がいるであろう体育倉庫へ

体育倉庫の扉の前に着くと話し声がした

「あんたが八と付き合ってる子?」

「ち、違います!」

ばしゃ!! 水をかけられた音がした

俺はいてもたってもいられなくて倉庫の中に入ったんだ

中に入ったらボロボロになって水で濡れているなるがいた

先輩の顔を見てみるとこいつら、この前告白してきた子たちだ

あんま、覚えてないけど

リーダー格っぽい子だったよな、確か

「は、八くん…これは…」

なるときとは違って甘えてくる声

でもすごい動揺しているのが分かった

「先輩たち、何してるんすか?」

「えっと…その…この子が!この子が八くんの彼女になるのが悪いのよ!みんなの八くんなのに…」

なるを助けられる状況は何かないか?

俺は今自分にできることを必死に考えた

なるを助けられるのはひとつしかないのに…

今のなるにはきっと"残酷になるであろう嘘"

でも今の俺にはそれしか…出来なかったんだ

「はぁー、誰が俺のものだって言ったんすか?
別に好きでもない子に平気で手を繋いだりキスとかできますよ?」

「なら、なんで!」

「先輩は興味なかったから。それじゃだめですか?」

本当は全部嘘で、好きでもない子にそんなことできない。できるわけがない

けどそうでも言わないと分かってくんないと思ったらから、この人たちは

「分かったんならもうどっかいってくれませんか?あ、それとまたこいつに手を出したら容赦しませんよ?」

先輩たちはすぐに体育倉庫から出ていった

なる…さっき俺の嘘を聞いた時から目に涙を貯めていた

早くなるのことを抱きしめてあげたかった

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