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私のヒーロー

第5章 知らなかった過去

もう大丈夫だよって、安心させてあげたかった

俺はなるに近づこうとした

「私に近寄らないで!」

それを聞いて俺は足を止めたんだ

なんでそんなこというんだよ…

もしかして誤解してる?それなら…

「先輩たちにあーやって言ったのはあーでもしないと諦めてくれないって思ったからだよ。あんなのは全部嘘だから。な?」

「そんなこと分かってるよ…八は知らないかもしれないけど昔から好きだったんだもん。八のこと見てればわかる」

嘘だろ…俺のことが好き?

全然気づかなかった

「いつから…だよ」

「小学5年生の時だよ。八は子供でまだ恋とか興味なかったんでしょ?それに幼なじみの関係を壊したくなくて告白とかしなかった。このままの隣にいればいいって。」

小学5年のときかー、たしかに全く恋愛とか興味なかった

クラスの男子とゲームとかサッカーしたりする方がすごい楽しかったし

そもそも恋愛ってなに?からだったから

今考えると本当にガキだったなー

「でも…ガキでもなるが困っていたら助けた。それはなるを守りたいって思ったから」

「うん、すごい嬉しかった。中学に入ってから八がモテるようになって凄い焦ってたんだ。このままじゃ八が取られちゃうって」

「そっか…」

「八から告白されたときは嬉しかった。けど…もう終わりにしよ?」

泣きながら辛い顔をしていうなるに伝えられた言葉

なんで…なんでそんなに泣きながら言うんだよ

なんで勝手にそんな残酷な決断をするんだよ…

俺が守ってあげないとって思っていた

なのに…なるがこんな残酷な決断をするまで追い詰められていたなんて知らなかった

俺が知らない間に追い込んでいたのかな…

そう考えると俺はなるになにも言葉をかけてあげることができなくて

「ばいばい、ごめんね。八」

体育倉庫から走っていったなる

追いかけてなるとちゃんと話し合えばよかったのかもしれない

なのに…俺は追いかけることも何もできなかった

ただ、そこにつったってることしかできなかった

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