隣のアイドル
第4章 *Episode3
「良かったですね。」
「え…?」
「あんなに可愛い子が無事に産まれてきてくれて。」
「…ーー」
そんなこと…初めて言われた。
柚花を1人で育てると決めた時ー…
日に日に大きくなるお腹に、自分が母親になれるのか不安を抱えてた時ー…
長い陣痛に耐えて、産声をあげた柚花を抱いた時ー…
私は、ずっと1人だった。
「俺が言える立場じゃないですけど、美咲さんの決断は間違ってなかったと思います。」
目頭が熱くなるのが自分でもわかった。
閉じてた口元に思わず力が入る。
視界が揺れ始めると同時に頬にゆっくりと温かい涙が伝った。
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