隣のアイドル
第4章 *Episode3
「…美咲さん……?」
「っ、ご…ごめんなさい…!
私ってば、なんで泣いてるんだろ……」
頬に伝った涙を拭うと笑って誤魔化す。
「蒼井さん、優しいですね。
今までのことが報われた気がします。
どうもありがとう。」
今まで張ってた糸が緩んだような、心からスーッと塊が消えていくように感じた。
「やっぱり、夜はだいぶ冷えますね。
そろそろ行きましょうか?」
美咲はベンチから立ち上がり柚花の方へと向かおうとする。
「美咲さん…!」
「ーー?」
振り向くと外灯に照らされた蒼井さんの顔がぼんやり見える。
「…俺、知りたかったんです。」
「………」
「詮索するつもりないとか言いながら、本当は美咲さんのことが気になってました。」
「蒼井さん…?」
急な言葉に戸惑う美咲
ゆっくり近付いてくる裕太をただ見つめた。
「もっと知りたいです、美咲さんのこと。」
背の高い裕太に圧倒されて、顔を見上げたまま固まる。
こんな感覚……
久々すぎてどう反応したらいいかわからない。
.