隣のアイドル
第5章 *Episode4
『ったく…、
気をつけてよね。』
「すみませんでした……」
高いヒールの音を響かせながらその場を立ち去る彩絵に頭を下げ続けた美咲
「あっ!!!」
「ーー?」
突然大きな声を出して固まる柚花に美咲も視線を向けた。
床から拾ったおもちゃ
さっき買ったばかりなのに割れていた。
「これ……」
思わず祐太も言葉を失う。
「柚花ちゃん、ごめんね……」
「……」
裕太の言葉に何も言わず、美咲の足にしがみついて顔を擦り付けた。
きっとスカートで涙を拭いてるー…
『裕太ー?行かないの?』
後ろから聞こえてきた声に裕太は美咲を見た。
「気にしないで行ってください!」
「いや、でも……」
「いいんです。
なくても困らないものなんで。」
言った後にハッとした。
甘やかして買い与えられたおもちゃだからって、蒼井さんに八つ当たりするなんて筋違いな話ー…
「柚花、お家入ろ?
本当にすみませんでした…。
あの方にももう一度伝えてください。」
頭を下げながら、足にしがみつく柚花をなんとか連れて家の中へと帰って行った。
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