隣のアイドル
第6章 *Episode5..
「ママー……お腹痛い……」
「え、お腹?トイレ行く?」
「痛いぃぃ……」
隣で眠ってたら、突然弱々しい声で泣き出した柚花。
夕飯には消化のいいおかゆを食べたから、何かにあたったということはなさそうだけど・・・
「おトイレ行ってみようか?」
柚花を抱きかかえて立ち上がった時、ゴボっという鈍い音と共に生温かい感触が肩と背中にじんわり感じた。
「っ…大丈夫!?」
嘔吐した柚花を布団に戻すと、とりあえず近くのタオルケットで柚花の口元や体を拭う。
突然の嘔吐に驚いたのか、お腹が痛くて苦しいのか、これまで見たことのない様子で大泣きする柚花に美咲は完全にパニックに陥っていた。
「どうしよう……病院、病院……!」
スマホを見ると日付が変わる数分前ー…
救急外来の小児科に電話しようと、スマホを片手に冷蔵庫に貼ってある電話番号を押す。
「あ、あの…、子供が突然吐いちゃって、お腹も痛いって泣き叫んでるんです…!
え?痙攣?してないです…!あ、でも昼に熱があって、でもそれ以外は元気だったんですけど…、」
震えるスマホを耳に当てながら、ゲホゲホと苦しそうに咳混じりの嘔吐を繰り返す柚花を必死に抱え込む。
「今からですか?
えっと、タクシーが掴まれば15分くらいで行けます。」
とりあえず柚花をタオルケットで包み、診察券や保険証などをカバンに投げ入れると自分もパジャマの上に羽織り物だけして家を飛び出した。
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