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「あら、皆さん。何か楽しいことでもあったのかしら？」

「エ……エルザ様っ！」

　華やかなドレスを身に纏った女性が現れると、オルバもメイドたちも慌てて壁際に寄った。そして頭を下げる。

「あなたも頭を下げるのよ！」

　ヒカルはオルバに言われるがまま、壁際に寄って頭を下げた。そんなヒカルのもとに、エルザと呼ばれた女性が近づく。

「あなた、変わった服を着ていらっしゃるのね。異国の方かしら？」

　ヒカルは上目使いで女性を見る。

「はい……ヒカルと申します」
「ヒカル……まあ、可愛らしい名前ね」

　エルザは優しく微笑んだ。
　その笑顔にヒカルは少しホッとする。

「若くて健康そうで……とても羨ましいわ」

　そう話すエルザの顔を見ると、化粧のせいなのか少し青白く見えた。

「エルザ様、その者は今日から働く新人メイドでございます。私がしっかり教育致しますので、無礼をお許しくださいませ」

　隣でオルバが頭を下げながら、エルザに話す。
　どうやらこの世界のメイドは目上の者の顔を見て話してはいけないようだ。

「いいのよ、オルバ。私はこの者と少し話をしてみたいの。あとで私の部屋に案内しなさい」
「えっ……」
「……承知いたしました」