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「ヒカル……まさかすでにザッハ伯爵の屋敷に！？」

　いてもたってもいられなくなり、レイナはそのまま宿屋から飛び出した。

「え、ちょっ……宿屋はどうするの～！？」
「少しの間、店番してて！」
「ええ～！」

　日が暮れる中、レイナはクロードがいるだろう討伐隊本部に向かう。その途中、酒場の近くを通りかかると今まさに見回りを開始しようとしているバットを発見した。

「バット！」
「レイナ！？ なんでこんな時間に……」
「バット、クロードは！？」
「クロードは……ザッハ伯爵のところにいる」
「ザッハ伯爵の屋敷に？」
「いいや、まだ闘技場だ。クロードが持っていた指輪について話があるって呼び出されたんだ」
「指輪……？」
「ナツミが持っていた指輪だ」
「！」
「何か特別な力があるみたいで……そこにザッハ伯爵は目をつけた」

　そういえば、バトルトーナメント優勝者と戦った時に赤い光がクロードを守っていた。

「クロードは大丈夫だって言ってたけどさ、あの男のことだ、ただで帰すわけがない」
「そんなっ……クロードに頼んでヒカルを助けてもらおうと思ったのに、クロードまでっ……！ どうして二人がこんな目に合わなければいけないの！？ こんなのっ……絶対おかしいわよ！」