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ぼっち─選択はあなたに─

第28章 魂の世界

 その日は双子の7歳の誕生日だった。久しぶりに父親の仕事の休みが取れたので、自分が我儘を言ったのだ、「遊園地に行きたい」と。

 そして帰り道、事故にあい、父親とヒカリは帰らぬ人となった。
 幼いながらも、父親と双子の片割れがいなくなったのを心で感じていた。

「お母さん……」
「ああ……そこにいたのね、ヒカリ」
「え……」
「ヒカリ、あなたが無事で良かったわ」
「!?」

(お母さん、何を言ってるの? 私はヒカルだよ!)

「あの子が……ヒカルが遊園地に行きたいと我儘を言わなかったら……」
「!」

(お父さんとヒカリが死んだのは私のせい!?)

 ショックだった。
 お母さんがそう思っていたことも、自分をヒカリと思い込んでいたのも──。

 ヒカルの存在は完全に無きものとされてしまった。
 それが8年も続いた。
 ヒカル自身も段々、自分がヒカリなのかヒカルなのかわからなくなっていた。

 そして16歳の誕生日、ヒカルは自ら命を絶った。

「可哀想に……君は間違った記憶を植え付けられていたんだね」

 いつの間にか、白衣を着た男性がテーブルに座っていた。

「あなたは……」

 男性の顔を見て、なんとなくどこかで会ったような気がした。

「私はSEED研究所の久遠(くおん)だ。君は真実が知りたいかい?」

 ヒカルは頷いた。
 彼が何者かはわからないが、真実が別にあるのなら知りたいと思った。



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