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ぼっち─選択はあなたに─

第28章 魂の世界

「まず……今ここにいるのはヒカルだ。それは自分でもわかるね?」
「はい」
「君の母親は、なぜ君のことを"ヒカリ"として育てようとしたのか……」

 ヒカルはゴクリと息を飲みこんだ。

「それは君たちが3歳の頃、自分の不注意でヒカリを死なせてしまったからなんだよ」
「──っ!?」
「君の母親は元々精神的に不安定なところがあってね……双子を育てるだけでも一杯一杯だった。ある日、目を離した隙にヒカリが家の階段から落ちてしまってね……頭の打ち所が悪く死んでしまったんだ」
「!」
「母親はたまたま階段の上にいるヒカルを見て、君がヒカリの背中を押したと思い込んだんだ」
「!!」
「もちろん幼い子にそんなことはできない。だが、母親は君を疑った」
「……っ……」
「君のせいにすることで、自分の不注意さをうやむやにしようとしたんだ。そして君を"ヒカリ"にすることで、精神を保とうとした」
「そんなっ……じゃあ、事故で死んだっていうのは……」
「ああ、母親の作り話だよ」
「!!」

 信じられない……。
 さっき思い出した記憶だけど、まさか全部母親の作り話だったなんて……。

「お父さんは……お父さんはどうして死んだの?」

 ヒカルはお葬式があったことは微かに覚えていた。

「君の父親は、私の部下だった。SEED研究所では脳の研究をしていてね……政府には極秘で研究を進めていたんだ。しかし内部の人間にスパイがいてね、私たちは命を狙われた」



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