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ぼっち─選択はあなたに─

第28章 魂の世界

「彼は……君の父親は私を庇って死んだんだ。だから、私には君と母親を一生保護する責任がある」
「!」

 だから……だから自分は今ここにいる?

「ここは一体何処なんですか……」

 ずっとシャドーの世界に転生したと思っていた。
 生まれ変われたと思ったのに……。

「もっと早く、君たち母娘を引き取るべきだった。まさか君が命を絶つとは思わなかった」
「……っ……」

 苦しかった。
 ずっと自分の存在を否定されて、ヒカリを演じなければならなくて。

 ずっとひとりぼっちだった。
 だから本当の自分として生きられる世界に行きたかった。自由になりたかった。

「ここは君の記憶の中だよ。本当の君はSEED研究所の装置の中で眠っている」
「記憶の中……」
「ああ、だから君が考えていることも記憶も全て映像として、研究所のモニターで見られるんだ。私はアバターを作り、君に話しかけている」

 ヒカルは白衣を着た久遠の姿を見る。
 だいたい20代くらいの男性だ。
 アバターということは、本物は違う姿なのだろうか。

「そして君が今までいた世界は、私が作った魂の世界だ」
「魂の世界……?」
「私の話を聞く前に、一息つこうか」

 そう言うと久遠はティーカップに紅茶を入れてくれた。

「ありがとうございます……」

 こういう気遣いをしてくれるところはリュージンに似ている、と思った。


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