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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第4章 初詣

 無事にお参りが終わると、鈴姉達はおみくじを引いていた。俺は…もし悪い結果が出たらと思うと怖くて…引けなかった。おみくじを引かないかわりに「合格祈願」と書かれた御守を…2つ購入した。

「鈴姉、これ、あげるよ」
「ん?何々?」
「合格祈願の御守。2つ買ったから」
「ありがとう。お揃いだね」

…お揃い、鈴姉と…。

「えー。私のは?」
「お前、受験生じゃないから関係ないだろ」
「合格祈願じゃなくて、『学業御守』ってのがあるぞ。美羽にはこれを買ってやる」
「わーぃ!和兄、優しい!!」
「兄さんは免許とりたてだし、交通安全御守がいいんじゃない?」
「鈴、お前…。俺の運転を信用してないな?こう見えても、自動車学校じゃ優秀だったんだぞ!?」

 みんなでわいわいやる、こんな時間がなんだか楽しい。

「ところで、さっき引いてたおみくじ、どうだった?」

 俺は美羽に聞いてみた。

「へっへー!あたし、大吉だったよ!!」
「美羽、知ってるか?大吉ってのはな、今がピークで、これからあとは下がる一方って意味なんだぜ…。可哀想に、小4でピークとはな…」
「えぇー、ひどい!そんなことないもん!!」

 鈴姉が、笑いながらおみくじを見せてくれた。

「あたしは、吉ね」
「俺、凶だったからさっき結んできた」

 和兄は、凶か…。俺は…うん、やっぱり引かないで正解かな。

 それから俺たちは神社をあとにし、和兄の運転で家に帰った。

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