僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。
第4章 初詣
「よーし、着いたぞ~。みんな降りろ~」
和兄の合図で車から降りる。
「わー、けっこう人が多いね!」
「正月の神社だからな。1年で1番混む時期だろ」
「はぐれるなよ~」
背の高い和兄は、周りから頭が飛び出ているので、そこそこ余裕そうだが、俺や美羽はまだ小さいから人の波に完全に埋もれてしまって大変だ…。
それでもなんとか鳥居をくぐり、手水舎のところまでやってきた。
はじめに和兄が、続いて鈴が手を洗い清める。鈴姉からひしゃくを受けとるとき、手と手が触れる。というか、わざとそうした。白くて細い手はすべすべとしていて、最高の触り心地だった…。自分の番が終わると、美羽にひしゃくを渡してやる。
それから人の流れにそってゆっくり前に進み、賽銭箱の前へむかって進む。もうちょっとで賽銭箱というところで、突然、和兄が話しかけてきた。
「115円のお賽銭をいれるといいぞ」
「なんで?」
「1、1、5、円…で、『いいご縁』っていう語呂合わせだ」
「へぇー」
「…語呂合わせもあるけど、あとは白い硬貨、赤い硬貨、穴の空いた硬貨を、1枚ずつ組み合わせると、思いが届きやすくなるとも言われてるみたいよ」
鈴姉の補足。鈴姉、意外と詳しいな…
「実は、さっきスマホで調べたの。白い硬貨が100円玉、赤い硬貨が10円玉、穴の空いた硬貨が5円玉で、あわせて115円ね」
…思いが届きやすく…俺の想いも、いつか鈴姉に届く日が来るのかな…。そんなことを考えながら、俺は小遣いのなかから115円を取り出して賽銭にした。
和兄の合図で車から降りる。
「わー、けっこう人が多いね!」
「正月の神社だからな。1年で1番混む時期だろ」
「はぐれるなよ~」
背の高い和兄は、周りから頭が飛び出ているので、そこそこ余裕そうだが、俺や美羽はまだ小さいから人の波に完全に埋もれてしまって大変だ…。
それでもなんとか鳥居をくぐり、手水舎のところまでやってきた。
はじめに和兄が、続いて鈴が手を洗い清める。鈴姉からひしゃくを受けとるとき、手と手が触れる。というか、わざとそうした。白くて細い手はすべすべとしていて、最高の触り心地だった…。自分の番が終わると、美羽にひしゃくを渡してやる。
それから人の流れにそってゆっくり前に進み、賽銭箱の前へむかって進む。もうちょっとで賽銭箱というところで、突然、和兄が話しかけてきた。
「115円のお賽銭をいれるといいぞ」
「なんで?」
「1、1、5、円…で、『いいご縁』っていう語呂合わせだ」
「へぇー」
「…語呂合わせもあるけど、あとは白い硬貨、赤い硬貨、穴の空いた硬貨を、1枚ずつ組み合わせると、思いが届きやすくなるとも言われてるみたいよ」
鈴姉の補足。鈴姉、意外と詳しいな…
「実は、さっきスマホで調べたの。白い硬貨が100円玉、赤い硬貨が10円玉、穴の空いた硬貨が5円玉で、あわせて115円ね」
…思いが届きやすく…俺の想いも、いつか鈴姉に届く日が来るのかな…。そんなことを考えながら、俺は小遣いのなかから115円を取り出して賽銭にした。