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第3章 第3話「包囲網」

頭おかしいのか?こいつ。
今からコロナになってもらうって。。。

思わず笑ってしまった、と同時にすごい嫌な予感がよぎる。

こいつ自信コロナにかかっていて、どうせ死ぬなら何人かを道連れにって言う考えの頭イカレタ奴。

いわゆるコロナテロってやつ。

似たような事件がよくニュースで流れてるよね。


と、言う事は俺はすでにこいつと濃厚接触。
今すぐにでも追い出して、俺自身も手洗い、うがい、消毒。
最悪の場合は病院、保健所に向かわなければ。。。

でもこいつは強い。腕っ節では敵わない。

どうすれば、どうすれば、どうすれば。。。




俺はバカか?何を考えてる?腕っ節だけで封じようなんて、10代の発想。
こんな時こそ警察を呼べばいいじゃないか。

木村はずっと笑顔でこちらを見つめ、「何か質問はありませんか?」と、言わんばかりの表情だ。

何かが違う気もする。もし、本当にコロナにかかっていてトチ狂った奴がこんな余裕であるか?

いや、逆だ。逆の発想をついてるんだ、こいつは。敢えて落ち着きを見せている。ある意味本当のイカレ野郎だ。

とりあえず警察に電話だ。こいつにバレないように。。。

「木村さん、でしたっけ?ちょっとトイレ行きますわ。」

「あ、どうぞ、どうぞ。」

俺はトイレに向かい鍵をする。

アホめ、この間に通報してお前はお縄だ。警察が来るまでの間は俺が話聞くふりして時間稼ぎだ。

早速スマホから110番。

プッ、プッ、プッ、プッ

やけに繋がるまでに長く感じるこう言う時って、、、
1秒が1分ほどに感じるほど長い。

プッ、プッ、プッ、プッ


プルルルルルルルルル〜

やった!やっと繋がった!

と同時にトイレのドアの向こうからも

プルルルルルルルルル〜

と聞こえたような気もした。
そんな事はどうでもいい。とりあえず繋がったこっちの勝ちだ。

出ろ、早く出てくれお巡りさんっっっ!

「はい、こちら110番。事件ですか?事故ですか?」

えっ??????

受話器の向こうとドアの向こうと、同じ声、同じセリフ。

バーンっとドアを開け玄関を見た。

「もしもし、松本さん、事件ですか?事故ですか?」

俺のスマホから聞こえている声、セリフを、、、同時進行で、、、
目の前に立っている木村がスマホ片手に、同じセリフを言っていた。。。

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