新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第1章 出会い
鷹人「親父と話してた時、両親は僕が殺したようなものだって言ってたよな?」
聖輝「はい……」
鷹人「普通さ、両親を事故で亡くしてたらまずは加害者を憎しむはずだ。」
鷹人「俺が聖輝くんの立場だったら間違いなく犯人を恨んでは殺したいって思うな。」
聖輝「……。」
鷹人「でも、聖輝くんは違った。事故の話をした時きみは加害者のことは一切触れず、それを自分のせいだと感じた…」
鷹人「その時、聖輝くんには人を憎しむより愛する気持ち…そして優しさで満ち溢れている人柄が見えたんだ。」
聖輝「憎しみより愛する気持ち…」
鷹人「そんな性格の子があの高校に来たら…不良達に良い刺激を与えてくれるかもしれない。」
鷹人「ケンカをしろとは言わない、不良になれとも言わない!ただ…聖輝くんにも触れてほしいんだ…」
鷹人「不良の世界というものがどんなものなのか…そして…悪いことだけじゃないってことを…」
聖輝「……。」
僕はしばらく何も言えなかった。
殴る殴られる以前にケンカなんてした事ない僕にとっては恐怖でしかない…
もしその場所に行ったら確実に殺される…
友達もできないだろうし、青春と言えるような高校生活を送れるとは思えない…
そう分かっている…分かっているけど…
『悔いのない人生を歩んでほしい』
鷹人叔父さんのこの言葉が胸に染み込んでくる。
僕のことをここまで考えてくれるなんて思ってもみなかった。
ついこの間初めて会ったのに……