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新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜

第7章 死神



聖輝「どうしたの?急に電話なんて…」


祖父『いや、さが高での高校生活はどうかと気になってな。』


聖輝「あぁ…まぁ…色々恐怖に感じながら…頑張って過ごしてるよ。」


祖父『そうか、友達とは上手くやってるか?』


聖輝「うん、大丈夫だよ。」


祖父『そうか…』


聖輝「…あのね、おじいちゃん…」


祖父『どうした?』


聖輝「…僕ね…今1人の先輩を救いたいって思ってるの…」


祖父『救いたいって…どういうことだ?』


聖輝「うん…その先輩は…あることがきっかけで急に学校の生徒達をナイフで切りつけるようになっちゃって…」


聖輝「その先輩を止めてあげないと…生徒達は傷つけられる一方だし…最悪の場合…死んじゃう人も出てくると思うの…」


聖輝「何がその人をそうさせてしまっているのか…それが分からないから…簡単に説得するのも難しくて…」


祖父『そうか…』


聖輝「でもね、その先輩のことをよく知っている先生に聞いたら…大安の日になると暴れるらしくて…」


祖父『大安の日…』


聖輝「うん…だから…明日、その先輩に声をかけてみようかなって思ってて…」


祖父『大丈夫なのか?』


聖輝「正直不安しかないけど…でも、先生も先輩のことを心配してたし…それに…僕自身、試してみたいって思うんだ。」


祖父『試す?』


聖輝「うん、叔父さんが言ってたこと…僕にしかできない闘い方…つまり、僕自身の気持ちを先輩に思いっきりぶつけようと思ってる…」


聖輝「成功するか分からないけど…僕なりの言葉で…先輩の心を救いたい…」


祖父『そうか…』


聖輝「うん…」


祖父『…他人を思いやる気持ち…確かに不良にとってはいい薬になるかもしれない…』


祖父『聖輝、お前がしたいようにすればいい。』


祖父『もちろん無傷で済むとは思えないが…それでも、やる価値はあるだろう。』


聖輝「おじいちゃん…」


祖父『もし、何かあったら私や鷹人にすぐ言ってくれ。』


聖輝「うん…ありがとう…」


おじいちゃんの言葉を聞いて、僕の胸の中にあった重みがスッと軽くなった気がした。

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