てのひらの福袋
第6章 【なわとび】
もう、何度目の追試になるかわからない。それでも…
「クラスの全員が出来るようになるまでやります」
2ヶ月前の体育の授業で担任が放ったその一言で、ずっとその追試は繰り返されていた。前跳びを10回連続で飛ぶ、というごく簡単なテスト。まさか教師もここまで手こずるとは思っていなかったのだ。低学年ならいざ知らず、4年生にもなってここまで跳べない子がいるとは…。しかし、今さら後悔しても遅い。とにかく、あと1人、あと1人が連続10回跳べれば、クラス30人全員が目標達成である。
「ゆきちゃん、頑張って!」
緊張した面持ちで縄をスタンバイする少女。1度深呼吸をして、跳び始める。
「1、2、3…」
クラスがひとつになる。
「4、5、6、7…」
5回以上連続で跳べたことのなかった少女が、初めて5回を超えた。
「8、きゅ…あっ!!」
あと少し、あと少しだった。縄は無残にも少女のスニーカーに踏まれていた。跳びそこなって、縄を踏んでしまったのだ。
「あ~ぁ」
ため息が漏れる。少女は、今にも泣きそうだった。それでも、歯を食いしばり、深呼吸をして、縄跳びの準備態勢に入る。
「ゆきちゃんが緊張するから、カウントは小さい声でしよ」
誰かが言いだした。今度はみんな、指を折って数えたり、独り言のような小さな声で数えたり、静かに見守る。しかし、
「…8、9、10っっ!!!」
8回を超えたあたりから徐々に声量が上がっていき、最後の「10」は大合唱だった。
「やったー!!ゆきちゃん、がんばったねー!!」
「ゆきちゃん、おめでとー!!!」
見守っていた全員が、一人の少女の傍に駆け寄っていく。みんなの輪の中心で少女は、泣き笑いの顔になっていた。
「クラスの全員が出来るようになるまでやります」
2ヶ月前の体育の授業で担任が放ったその一言で、ずっとその追試は繰り返されていた。前跳びを10回連続で飛ぶ、というごく簡単なテスト。まさか教師もここまで手こずるとは思っていなかったのだ。低学年ならいざ知らず、4年生にもなってここまで跳べない子がいるとは…。しかし、今さら後悔しても遅い。とにかく、あと1人、あと1人が連続10回跳べれば、クラス30人全員が目標達成である。
「ゆきちゃん、頑張って!」
緊張した面持ちで縄をスタンバイする少女。1度深呼吸をして、跳び始める。
「1、2、3…」
クラスがひとつになる。
「4、5、6、7…」
5回以上連続で跳べたことのなかった少女が、初めて5回を超えた。
「8、きゅ…あっ!!」
あと少し、あと少しだった。縄は無残にも少女のスニーカーに踏まれていた。跳びそこなって、縄を踏んでしまったのだ。
「あ~ぁ」
ため息が漏れる。少女は、今にも泣きそうだった。それでも、歯を食いしばり、深呼吸をして、縄跳びの準備態勢に入る。
「ゆきちゃんが緊張するから、カウントは小さい声でしよ」
誰かが言いだした。今度はみんな、指を折って数えたり、独り言のような小さな声で数えたり、静かに見守る。しかし、
「…8、9、10っっ!!!」
8回を超えたあたりから徐々に声量が上がっていき、最後の「10」は大合唱だった。
「やったー!!ゆきちゃん、がんばったねー!!」
「ゆきちゃん、おめでとー!!!」
見守っていた全員が、一人の少女の傍に駆け寄っていく。みんなの輪の中心で少女は、泣き笑いの顔になっていた。