
狼からの招待状
第5章 化石の街
早口な、一方的な…押しつけがましい男の声。
「何も─お話できません」くぐもった、寝起きのユノの声を、不機嫌と取ったらしかった。
「電話でいいんですよ、─チャンミンさんにお会いになりました?」「それは…」「薬物との関わりはいつからです」「え…」「ユノさんね、経営陣でしょ? この件、ダブルで責任を」「お話すること、何もありません」指先で通話を切り、電話機の脇に受話器を置く。
時計は6時を過ぎていた。
立ち上がり、バスルームに向かう。窓のカーテンのあいだ、朝の光が見える。春の靄がかった朝ではなく、陽射しが眩しい。
シャワーを出て、服をつける。オリーブいろのシャツに春のコートを纏う。
ホテルを出て、しばらく行った先にカフェがある。「チョン・ユノさん。ですか─」早朝の通りを渡ろうとして、呼び掛けられる。ハングルでの呼び掛けだった。
「チャンミンは療養中で、専門病院だから面会も難しい。治療も大事な時期だし、薬物とは関係ない事故で入院した。静かに過ごさせてあげたい」朝食のメニューをウェイターに返す。
「早く快くなられるといいですね」
「何も─お話できません」くぐもった、寝起きのユノの声を、不機嫌と取ったらしかった。
「電話でいいんですよ、─チャンミンさんにお会いになりました?」「それは…」「薬物との関わりはいつからです」「え…」「ユノさんね、経営陣でしょ? この件、ダブルで責任を」「お話すること、何もありません」指先で通話を切り、電話機の脇に受話器を置く。
時計は6時を過ぎていた。
立ち上がり、バスルームに向かう。窓のカーテンのあいだ、朝の光が見える。春の靄がかった朝ではなく、陽射しが眩しい。
シャワーを出て、服をつける。オリーブいろのシャツに春のコートを纏う。
ホテルを出て、しばらく行った先にカフェがある。「チョン・ユノさん。ですか─」早朝の通りを渡ろうとして、呼び掛けられる。ハングルでの呼び掛けだった。
「チャンミンは療養中で、専門病院だから面会も難しい。治療も大事な時期だし、薬物とは関係ない事故で入院した。静かに過ごさせてあげたい」朝食のメニューをウェイターに返す。
「早く快くなられるといいですね」
