
狼からの招待状
第5章 化石の街
児童館の一室は、壁が全て絵本の棚。コルク張りの床に、明るい色合いのカーペット。
「よむの…」催促してユノを見上げる。
チャンミンを見舞い、侍従と話す。…その後は、この児童館の絵本図書室に来ている。
(僕たちの集会所。閉鎖になったんです、近くの教会で事件多くて─物騒。代わりに隣の地区の児童館を使います)フライの弟分のひとりと、〈アンゲ〉で顔を合わせ、きいたのだった。
児童館の入り口ホールの片隅のコーナー。バイブルクラスもあり、ユノも参加した。
─開かれた絵本のページには、童話の挿し絵…ウェディング・ドレス姿の姫。
(お嬢さまは、NYでご自身のブランドを展かれる。ご結婚を機に新事業を…)キム侍従の声が頭のなか、甦る。(最初のコレクションは今秋。ブライダル・ファッションの─)膝の幼女がちいさく笑う。(お式のドレスも発表されるご予定で…お楽しみでいらしたのですが)絵本の見開きページ。教会の扉から、腕を組んで階段をおりる白い正装の王子と姫─純白のドレス。
「…アジョッシ!」
幼女の声に我にかえる。
「うん─読んであげるね…」絵本の大きな文字を指先でなぞりながら、読み始めた。「A long time ago…」幼女がクスクス笑う。
「よむの…」催促してユノを見上げる。
チャンミンを見舞い、侍従と話す。…その後は、この児童館の絵本図書室に来ている。
(僕たちの集会所。閉鎖になったんです、近くの教会で事件多くて─物騒。代わりに隣の地区の児童館を使います)フライの弟分のひとりと、〈アンゲ〉で顔を合わせ、きいたのだった。
児童館の入り口ホールの片隅のコーナー。バイブルクラスもあり、ユノも参加した。
─開かれた絵本のページには、童話の挿し絵…ウェディング・ドレス姿の姫。
(お嬢さまは、NYでご自身のブランドを展かれる。ご結婚を機に新事業を…)キム侍従の声が頭のなか、甦る。(最初のコレクションは今秋。ブライダル・ファッションの─)膝の幼女がちいさく笑う。(お式のドレスも発表されるご予定で…お楽しみでいらしたのですが)絵本の見開きページ。教会の扉から、腕を組んで階段をおりる白い正装の王子と姫─純白のドレス。
「…アジョッシ!」
幼女の声に我にかえる。
「うん─読んであげるね…」絵本の大きな文字を指先でなぞりながら、読み始めた。「A long time ago…」幼女がクスクス笑う。
