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狼からの招待状

第5章 化石の街

 「─in a Galaxy far,far away」死神に似たマントを纏い、甲冑の姿の黒騎士のような人物の絵にはしゃぐ。
 黒騎士は、青白い光りの剣を、こちらに向けている。
 ページを繰ると、宇宙空間を金髪の青年と、白い衣の乙女が走り、ミニロボットが丸い頭のライトを照らす─。
 脚をばたつかせ、喜ぶ幼女の声。「May the force be with you …」 次のページには、灰色の霧の森のような場所に、尖った耳の小人の妖精が岩に座り、小枝を噛じりながら物思わしげにしている様子と、黒い皮膚と髪の長身の男が、深い青の装いをして、摩天楼のライトに、色を変えながら流れる雲の街を見下ろす挿し絵が描かれている。「…this phrase derive from〝May the god be with you〟…」
 小さな指先で、絵本のページをなぞりながら、独りごとを呟く幼女。
 挿し絵の片隅には、“A New Hope”希望の勇者たち.の大きな文字。
 幼女がページを繰る。「─Through the looking-Glass…」挿画は、水色のドレスの金髪の少女が、鏡に手をついている後ろ姿。
 「─ルミ…」ぱっと顔を上げる幼女。「ルミナ? …」「オンマ」髪をカチューシャで留めた、生成りのセーター姿の女性に、飛びつく。

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