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狼からの招待状

第5章 化石の街

(うん、顔にでる性格ある…)(『仮面の王 イ・ソン』で世子が顔を隠して育つ。あれは、聖君を密かに育てる意味もありそうです)……



 ──「時間です、リーダー」「始めよう」スタジアムの座席を思わす、ぐるりと円型を描く階段。
 その中央に、ひときわ背の高い男が立ち、階段に座る一堂を見まわす。 「売り上げの話の前に」男は言葉を切って、「痛ましい話を、しなければならない」店内が静まる。
 ─レディース・クラブ〈デミアン〉。月1度の全体ミーティング…時刻は25時近い。
 「波止場で今朝─男女の遺体が見つかった」口を一瞬、閉ざすと、「リーダー、それ夕方、ニュース見ました」階段の隅から声が上がった。スマホを手にしている、茶いろの髪の青年─に頷き、「その二人は、身元不明で監察医の…」「無理心中かなんかですか」「銃殺だ」(…治安悪いな)(最近、物騒)(人殺しか)ざわめきが、階段のあちこちから上がった。
 「─二人は日本人だそうです…韓国名を名乗っていたらしい」「シォニ。来たか」「遅れました」皆に一礼して、傍らの階段のグレの隣に腰を下ろす。
 「シォニ、情報早いな?」

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