
狼からの招待状
第5章 化石の街
「お相手を有難うございます」ロープをくぐり、荒い息の男を介抱するトレーナーにも、頭を下げる。へたり込んだ男は白人だが、顔は真っ赤で酔いどれのようだ。
──「…皇女様か」「麻薬を嗜む─ね…」手渡された白いタオル。「皇女の男も…、だろ?」汗を拭いながら云う。
背後から、ロープが床を何度も叩く硬い音がする。縄跳びをしているらしい。
「1億のなんのって…あの世まで金は持っていけない」床に置いたミネラル・ウォーターを一口飲む。
「─久しぶりのジムだし、僕も汗流してきます」グレが腰を上げた。「タオル用意しとく」肩に掛けた白タオルを振った。笑みを残し、通路を行きながら羽織っていたトレーニング・ウェアを脱ぐ。
「ユノ先輩」隣にかけたフライが、ペットボトルを床に置き、「警察に行ったんですって?」「俺は目撃者だよ、知らないふりは出来ない」
…事件のニュースを聞いて、ユノは警察署に出向いたが、二人を児童館の地下駐車場で見た─というだけの目撃証言。刑事からの聴き取りも簡単なものだった。
「雑誌で写真見たけど…ユノ先輩と一緒の─」ぴくりと、ユノの頬が動く。
──「…皇女様か」「麻薬を嗜む─ね…」手渡された白いタオル。「皇女の男も…、だろ?」汗を拭いながら云う。
背後から、ロープが床を何度も叩く硬い音がする。縄跳びをしているらしい。
「1億のなんのって…あの世まで金は持っていけない」床に置いたミネラル・ウォーターを一口飲む。
「─久しぶりのジムだし、僕も汗流してきます」グレが腰を上げた。「タオル用意しとく」肩に掛けた白タオルを振った。笑みを残し、通路を行きながら羽織っていたトレーニング・ウェアを脱ぐ。
「ユノ先輩」隣にかけたフライが、ペットボトルを床に置き、「警察に行ったんですって?」「俺は目撃者だよ、知らないふりは出来ない」
…事件のニュースを聞いて、ユノは警察署に出向いたが、二人を児童館の地下駐車場で見た─というだけの目撃証言。刑事からの聴き取りも簡単なものだった。
「雑誌で写真見たけど…ユノ先輩と一緒の─」ぴくりと、ユノの頬が動く。
