
狼からの招待状
第5章 化石の街
「チャンミンは、それだけ良くなって…」(ユノ)「はい、ユノさまをお待ちです。あの特別室で…退院後は、スイスの保養地に移られます。私もお供致します」
……「ユノ」…見覚えのある大型の本、─写真集。海沿いの鴎たち。
「チャンミン」「うん。 …」白い椅子にかけ、「チャンミン」手をとった。「うん…ユノ」目をしばたくチャンミン。
「チャンミン、気分はどうだ?」「うん」指先が冷えている。「チャンミン」入院中に伸びた髪、日に当たらない、蒼白い皮膚、どんより曇ったような眼、痩せた身体。 「ユノ …」声も嗄れている。「お前…チャンミン」「うん」「リハビリは、どう…?」「うん」「会いたいって聞いて」「うん…ユノ」「来たよ、チャンミン」「─うん」「…写真見てたのか」膝の写真集に、チャンミンは目を落とす。「そう」「話して大丈夫か」「だいじょ─ぶ」「疲れたら、云えよ」「だいじょ…ぶ」「朝、食べた?」頷く。「お前、事故で入院─」「ユノ。仕事どうしたの」─はっきりした、口調だった。
風が心地よい。「チャンミン、寒くない?」夏の初めを思わす午後の陽射し─髪を風になぶらせながら、チャンミンは少し笑う。
……「ユノ」…見覚えのある大型の本、─写真集。海沿いの鴎たち。
「チャンミン」「うん。 …」白い椅子にかけ、「チャンミン」手をとった。「うん…ユノ」目をしばたくチャンミン。
「チャンミン、気分はどうだ?」「うん」指先が冷えている。「チャンミン」入院中に伸びた髪、日に当たらない、蒼白い皮膚、どんより曇ったような眼、痩せた身体。 「ユノ …」声も嗄れている。「お前…チャンミン」「うん」「リハビリは、どう…?」「うん」「会いたいって聞いて」「うん…ユノ」「来たよ、チャンミン」「─うん」「…写真見てたのか」膝の写真集に、チャンミンは目を落とす。「そう」「話して大丈夫か」「だいじょ─ぶ」「疲れたら、云えよ」「だいじょ…ぶ」「朝、食べた?」頷く。「お前、事故で入院─」「ユノ。仕事どうしたの」─はっきりした、口調だった。
風が心地よい。「チャンミン、寒くない?」夏の初めを思わす午後の陽射し─髪を風になぶらせながら、チャンミンは少し笑う。
