
狼からの招待状
第6章 風のなかの二人
キャンパスにそぐわない─小太りで背の低い、短いおかっぱ頭の女性がその近くにいる。紺のパンツスーツにスニーカー。デニムのポーチを抱えている。
スクーターから飛び降りた赤いブルゾンの少年が、寮の入り口に白っぽい箱を運ぶのを、繁みの陰から目で追っているようだ。
グレが近づくと、慌てた素振りで裏門へ、どたばたと逃げ走る……
傾いた西陽が、キャンパスに夏の日の終わりを告げていた。
1週間後。「気分転換にどうだ。夏休みも終わるし」遅い昼食に誘われ、クラスメイトと大学から少し離れた通りを歩いていた。
(あのひと?)─立ち止まった。
「なんだ、グレ?」笑いあっていた友人が、訊いてくる。「うん…。この前、学生寮の近くの」 赤いブルゾンが、遠くを横切った。
ジーパンに灰色のTシャツ。紺のキャップを被り、スニーカーに白いソックスの女性…。今日はポストの陰から近くの食料品店を覗いているようだった。
グレが早足で近寄り、後ろから声を掛けようと…自動ドアが開き、赤ブルゾンの少年が走り出て、店前のスクーターに跨がり、Uターンして通り過ぎて行った。
スクーターから飛び降りた赤いブルゾンの少年が、寮の入り口に白っぽい箱を運ぶのを、繁みの陰から目で追っているようだ。
グレが近づくと、慌てた素振りで裏門へ、どたばたと逃げ走る……
傾いた西陽が、キャンパスに夏の日の終わりを告げていた。
1週間後。「気分転換にどうだ。夏休みも終わるし」遅い昼食に誘われ、クラスメイトと大学から少し離れた通りを歩いていた。
(あのひと?)─立ち止まった。
「なんだ、グレ?」笑いあっていた友人が、訊いてくる。「うん…。この前、学生寮の近くの」 赤いブルゾンが、遠くを横切った。
ジーパンに灰色のTシャツ。紺のキャップを被り、スニーカーに白いソックスの女性…。今日はポストの陰から近くの食料品店を覗いているようだった。
グレが早足で近寄り、後ろから声を掛けようと…自動ドアが開き、赤ブルゾンの少年が走り出て、店前のスクーターに跨がり、Uターンして通り過ぎて行った。
