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狼からの招待状

第6章 風のなかの二人

 高いところにある、クラシカルな時計の針は午前2時半過ぎをさす。「白衣に着替えて。朝になるわ」 
 身を翻して準備室に戻っていくグレ。
 鈍い銀の解剖台に屈みこんだ教授は、首まわりの痣を見ている。おかっぱ髪が乱れ、首筋にかかっていた。
 ‘40代前半 女性 小肥り 身長150㎝ …’
 ほっそりした指先が、タブレットの司法解剖所見書の項目に、データを入力していく。
 遺体は、太く短いはだしの両足を投げ出して、口をだらしなく開き、のんきに昼寝でもしているよう…ボーイ見習い少年の追っかけおばさんだった。









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