
狼からの招待状
第6章 風のなかの二人
─コーヒーの香り…「お前、長男なんだから…チャンミン」兄らしく諭す口調に、唇が少し綻ぶ。
「早く良くなって、ソウルの家に帰る。親孝行だ。おじさんたちが待ってる」「うん」頬が夏痩せで少しこけたが、ユノを見る目に穏やかさがある。
特別病棟のラウンジは、秋いろに染まり始めた空からの光に満ちた。
「今日は気分が良さそうだな…」「うん」
「ご面談中に恐れ入ります」よく通る深みある声。「うん?」チャンミンが、キム侍従を見て応える。
畏まって白い横長のものを手渡す…「手紙? エアメールだね」横から覗くと、「親父からだ、読んでよ…ユノ」寝椅子に怠そうに凭れた。
云われて、開封し、便箋を開く。高校の国語の教師だっただけに、丁寧なハングルが几帳面に綴られてある。
─家族の現状、婚約解消、そしてチャンミンの病状を案ずる、父親らしい温かみのある文面だった。
「チャンミン。…早く元気にならなきゃ、─リハビリも…」「婚約解消…何? ユノ」「うん…残念だね─」「どうして…!」チャンミンの声がいきなり、高くなった。
「早く良くなって、ソウルの家に帰る。親孝行だ。おじさんたちが待ってる」「うん」頬が夏痩せで少しこけたが、ユノを見る目に穏やかさがある。
特別病棟のラウンジは、秋いろに染まり始めた空からの光に満ちた。
「今日は気分が良さそうだな…」「うん」
「ご面談中に恐れ入ります」よく通る深みある声。「うん?」チャンミンが、キム侍従を見て応える。
畏まって白い横長のものを手渡す…「手紙? エアメールだね」横から覗くと、「親父からだ、読んでよ…ユノ」寝椅子に怠そうに凭れた。
云われて、開封し、便箋を開く。高校の国語の教師だっただけに、丁寧なハングルが几帳面に綴られてある。
─家族の現状、婚約解消、そしてチャンミンの病状を案ずる、父親らしい温かみのある文面だった。
「チャンミン。…早く元気にならなきゃ、─リハビリも…」「婚約解消…何? ユノ」「うん…残念だね─」「どうして…!」チャンミンの声がいきなり、高くなった。
