
狼からの招待状
第6章 風のなかの二人
「《アンゲ》にもチャンミンさん似の男が…」「うん…、俺からまれたから、よく覚えてる。確か、チェンとか」「はい。だけど、本屋で見かけたのは違う。もっと若くて─背も高かった」どっと笑う声。オーナーが見学者に冗談をとばしたらしい。
「チャンミンに似てる人間が二人もいるのか、この街」ユノが面白そうに云った。「他人の空似でしょうが…、早くご本人が退院できると良いですね」「退院したら、スイスの保養地に行く。俺も一緒だ」「スイスなら、ゆっくり休めますよ」 ウエイト・リフティング・コーナーから、歓声が上がった。
「ベンチプレス、塞がってるみたいだね」「トレーニング・マシンが、空いてる…やりましょう」
ふたりは放課後、自習室に行くのも忘れて、運動場で暴れまわる学生のように、肩を並べてジムの大きな窓ぎわにいく。 真剣な目つきで、パンチング・マシーンを打ち続ける青年の額の汗が、迸る。
雑居ビルの一室から、表通りに降りると、細かい霧の雨…「ジャスミン。今夜もバイト?」隣に上背のある青年が、親しげにやって来た。
「…」前を向いたまま、こくりと頷く。
「チャンミンに似てる人間が二人もいるのか、この街」ユノが面白そうに云った。「他人の空似でしょうが…、早くご本人が退院できると良いですね」「退院したら、スイスの保養地に行く。俺も一緒だ」「スイスなら、ゆっくり休めますよ」 ウエイト・リフティング・コーナーから、歓声が上がった。
「ベンチプレス、塞がってるみたいだね」「トレーニング・マシンが、空いてる…やりましょう」
ふたりは放課後、自習室に行くのも忘れて、運動場で暴れまわる学生のように、肩を並べてジムの大きな窓ぎわにいく。 真剣な目つきで、パンチング・マシーンを打ち続ける青年の額の汗が、迸る。
雑居ビルの一室から、表通りに降りると、細かい霧の雨…「ジャスミン。今夜もバイト?」隣に上背のある青年が、親しげにやって来た。
「…」前を向いたまま、こくりと頷く。
