
狼からの招待状
第6章 風のなかの二人
ドアが開き、講師のアシスタントが実習用の教材を両手に持ち、カウンターに運ぶ。
「リュー。帰りに…いい?」「付き合うよ、おれ。今日も暇だ」実習室に駆け込んでくるグループの騒ぎ…金髪をひとまとめにした、タートルネックに白い上着の女性講師が、カウンターの中央に向かう。
「何でも…好きなもの注文して」「あなたを注文します」「え…」メニュー表を閉じ、ウェイターに、手を挙げる。
呆れた様子のジャスミンを、楽しげに眺めるリュー。
……赤土のようなレンガの壁。窓は小さい。奥に横幅のある暖炉が見える。
…温かい料理が、運ばれてきた。「こんな家庭料理で、いいの? マスターの奢りなのに」「好物なのさ」キング・サーモンにナイフを入れる。熱く溶けたバターが、薫る。
「財布盗られて」木製の深皿のボルシチに大きな匙を入れ、「殴られて、怪我…さんざんだったね」「いいって。おれがぼんやりだった」じゃがいものスープを飲む。
「あのこ、救急車を異常に嫌がって」「病院や医者が怖いとか…泣きべそでさ…」グラスワインを唇に運ぶ。白い小ぶりなパン皿に、ライ麦パンと黒パン。
「リュー。帰りに…いい?」「付き合うよ、おれ。今日も暇だ」実習室に駆け込んでくるグループの騒ぎ…金髪をひとまとめにした、タートルネックに白い上着の女性講師が、カウンターの中央に向かう。
「何でも…好きなもの注文して」「あなたを注文します」「え…」メニュー表を閉じ、ウェイターに、手を挙げる。
呆れた様子のジャスミンを、楽しげに眺めるリュー。
……赤土のようなレンガの壁。窓は小さい。奥に横幅のある暖炉が見える。
…温かい料理が、運ばれてきた。「こんな家庭料理で、いいの? マスターの奢りなのに」「好物なのさ」キング・サーモンにナイフを入れる。熱く溶けたバターが、薫る。
「財布盗られて」木製の深皿のボルシチに大きな匙を入れ、「殴られて、怪我…さんざんだったね」「いいって。おれがぼんやりだった」じゃがいものスープを飲む。
「あのこ、救急車を異常に嫌がって」「病院や医者が怖いとか…泣きべそでさ…」グラスワインを唇に運ぶ。白い小ぶりなパン皿に、ライ麦パンと黒パン。
