
狼からの招待状
第7章 ブルー・クリスマス
セオドアは、駆けてゆく─真っ黒な、闇の集ったような─深い深い海底を泳ぐ生き物のような─大鴉が、粉々に砕けた硝子の欠片のなかに蠢く裸の小人を、鋭い頑丈そうな嘴で挟み、音も無く舞い上がった。
トナカイと雪だるまと肩を組んだサンタクロース。ポインセチアと金の鐘を結ぶ真紅のリボン… 「マスター─、兄貴」 焦げ茶の革カバーのかかった、大きめなノート。…帳簿を記していたらしい。太い万年筆を止めて、顔を上げる。
「そろそろ終わりそうです、店の飾りつけはどうしますか」さらさらとサインペンを軽く動かしながら訊く。
「ハロウィンの壁飾りがよかった。ウォールペンティングでいいかな」「あの─」頬をいくぶん赤らめたジャスミン。
「オ? なんだ…」「お店のなか。地下で暗いから…。窓をひとつ、僕、作りたいです」手元のカードをひと纏めにして、はにかみながら、云う。 「窓の取り付け工事…。DIYはジャスミンに任せますか、兄貴」サインペンとカードを白い丸テーブルに置く。カードは、教会と児童館の合同クリスマスバザーの案内状。
宛名書きを済ませて、〈アンゲ〉のクリスマスの演出の相談会になった。
トナカイと雪だるまと肩を組んだサンタクロース。ポインセチアと金の鐘を結ぶ真紅のリボン… 「マスター─、兄貴」 焦げ茶の革カバーのかかった、大きめなノート。…帳簿を記していたらしい。太い万年筆を止めて、顔を上げる。
「そろそろ終わりそうです、店の飾りつけはどうしますか」さらさらとサインペンを軽く動かしながら訊く。
「ハロウィンの壁飾りがよかった。ウォールペンティングでいいかな」「あの─」頬をいくぶん赤らめたジャスミン。
「オ? なんだ…」「お店のなか。地下で暗いから…。窓をひとつ、僕、作りたいです」手元のカードをひと纏めにして、はにかみながら、云う。 「窓の取り付け工事…。DIYはジャスミンに任せますか、兄貴」サインペンとカードを白い丸テーブルに置く。カードは、教会と児童館の合同クリスマスバザーの案内状。
宛名書きを済ませて、〈アンゲ〉のクリスマスの演出の相談会になった。
