
狼からの招待状
第2章 霧魔
玄関ポーチの上を落ち葉がくるくる舞い、焦げ茶のローファが、歩みを止め…(迷った?)先の十字路を曲がろうと─「ユノ先輩?」後ろを向くと、フライの弟たちが、窓から顔を出している。
「先輩、こんな裏道でどうしたんですか」「迷子なんだ」窓に寄ろうとすると、「入ってください」灰色のドアを開け、人懐っこい顔の若者が出てきた。ジムでも見た顔だった。
「どうぞ」壁に沿って古い木のベンチが、ぐるりと置いてある。待合室のようだ。「ユノ先輩。迷子って?」「この前、行った教会が、わからなくって…」ベンチに掛けて、若者たちの顔を見まわす。
「教会なら、この脇道を左に行ったところです」隣の青年が、壁のほうを指して教えてくれた。 「ここも教会だったんですよ」向かい側の金に長髪を染め、ひと纏めに括った、はたちくらいの男が云う。「牧師さんが、ミャンマーに赴任で、信者の集会所になったんです」「君たちも信者?」「ぼくら、ミッション系の保護施設で育ったんです」「みんな、兄弟です。おれたちは家族」……
──いちばん、隅っこに掛けた少年が脇のドアに目をやった。「─オ? ムォヤ?(なんだ)」仲間のひとりが訊くと、耳まで顔を赤らめ、俯く…。
「先輩、こんな裏道でどうしたんですか」「迷子なんだ」窓に寄ろうとすると、「入ってください」灰色のドアを開け、人懐っこい顔の若者が出てきた。ジムでも見た顔だった。
「どうぞ」壁に沿って古い木のベンチが、ぐるりと置いてある。待合室のようだ。「ユノ先輩。迷子って?」「この前、行った教会が、わからなくって…」ベンチに掛けて、若者たちの顔を見まわす。
「教会なら、この脇道を左に行ったところです」隣の青年が、壁のほうを指して教えてくれた。 「ここも教会だったんですよ」向かい側の金に長髪を染め、ひと纏めに括った、はたちくらいの男が云う。「牧師さんが、ミャンマーに赴任で、信者の集会所になったんです」「君たちも信者?」「ぼくら、ミッション系の保護施設で育ったんです」「みんな、兄弟です。おれたちは家族」……
──いちばん、隅っこに掛けた少年が脇のドアに目をやった。「─オ? ムォヤ?(なんだ)」仲間のひとりが訊くと、耳まで顔を赤らめ、俯く…。
