
狼からの招待状
第2章 霧魔
「─僕、脳外科は専攻外ですが…おそらくMRIに髄液漏れが反映されての外科治療。手術と思います」ユノを見つめ、答える。
「そう、髄液漏れ…そうらしい」「脳の保護のための手術です」「保護したらもう良いんだろう?」「脳は再生しない組織。後遺症が考えられる」今度は訊いてきたフライを見つめた。
「…後遺症」また、ユノが呟くと、「絶対とは云いません、リハビリもある。代償作用が脳は働く。─手術後の話です」柔らかい口調に戻るグレ。
「ユノ先輩。きっと手術上手くいくでしょう、だけど─ご心配ですよね…」「聖マリアンナは、脳外科治療の専門病院ですから、手術は良い結果になりますよ」ふたりの優しい言葉にも、ユノは憂い顔だった。
「有難う。手術にはあまり、不安はない。婚約者の侍従から、説明してもらって、大切だって納得した」「オソォセョ」 焦げ茶のセーター姿で入ってきたマスター。見開く目をユノに当てる……
「ひどいなぁ」「ヒステリックだ─それは」チャンミンの婚約者との顛末を話すと、ふたりは呆れ声を出した。マスターは黙って、きいていた。
「…うん。まぁ─彼女も辛いんだと思う…お嬢さまだし」「温室育ち? ─ユノ先輩。お人が好すぎですよ」
「そう、髄液漏れ…そうらしい」「脳の保護のための手術です」「保護したらもう良いんだろう?」「脳は再生しない組織。後遺症が考えられる」今度は訊いてきたフライを見つめた。
「…後遺症」また、ユノが呟くと、「絶対とは云いません、リハビリもある。代償作用が脳は働く。─手術後の話です」柔らかい口調に戻るグレ。
「ユノ先輩。きっと手術上手くいくでしょう、だけど─ご心配ですよね…」「聖マリアンナは、脳外科治療の専門病院ですから、手術は良い結果になりますよ」ふたりの優しい言葉にも、ユノは憂い顔だった。
「有難う。手術にはあまり、不安はない。婚約者の侍従から、説明してもらって、大切だって納得した」「オソォセョ」 焦げ茶のセーター姿で入ってきたマスター。見開く目をユノに当てる……
「ひどいなぁ」「ヒステリックだ─それは」チャンミンの婚約者との顛末を話すと、ふたりは呆れ声を出した。マスターは黙って、きいていた。
「…うん。まぁ─彼女も辛いんだと思う…お嬢さまだし」「温室育ち? ─ユノ先輩。お人が好すぎですよ」
