
狼からの招待状
第2章 霧魔
腹立たしげな物言いのフライに、「仮にも、チャンミンさんの選んだ方。フライ、失礼だよ。─ユノ先輩にも」年下のグレに、兄のように云われて、「そゥお? 俺わがままなの嫌いなだけよ」食器洗い機のグラスを取り、並べ立て、麻の布巾で拭き始めた。
「ユノ先輩。お見舞いは僕が、行きます」グレは言葉を続ける。「婚約者のかた。お名前はチェン・エミンさんでしょう」「知ってるのか、お前」フライが云う。
─マスターが、セラレットから顔を向けた。
「店に何度か来て、札びらきって、ホストたち仲間をいびるんです」「…お前も?」「僕は出張ホストだから、店には殆どいない。外での営業です」「あの、グレさん」 ユノが呼び掛けると、「呼び捨てしてください。僕は後輩です」大輪の薔薇のような、笑みを顔に咲かせた。
「うん─。お願いする。グレ、様子が知りたい…」「エミン嬢とは同じ大学なんです、学部は違いますが。同学の令嬢を励ます。無料奉仕」
「─有難う。手術が終わったら、頼むね…」ソーダを飲み干して、グラスを空にする。「出張ホストの出番です、心得ました」快活にこたえ、ユノのグラスを、炭酸水で満たした。
「ユノ先輩。お見舞いは僕が、行きます」グレは言葉を続ける。「婚約者のかた。お名前はチェン・エミンさんでしょう」「知ってるのか、お前」フライが云う。
─マスターが、セラレットから顔を向けた。
「店に何度か来て、札びらきって、ホストたち仲間をいびるんです」「…お前も?」「僕は出張ホストだから、店には殆どいない。外での営業です」「あの、グレさん」 ユノが呼び掛けると、「呼び捨てしてください。僕は後輩です」大輪の薔薇のような、笑みを顔に咲かせた。
「うん─。お願いする。グレ、様子が知りたい…」「エミン嬢とは同じ大学なんです、学部は違いますが。同学の令嬢を励ます。無料奉仕」
「─有難う。手術が終わったら、頼むね…」ソーダを飲み干して、グラスを空にする。「出張ホストの出番です、心得ました」快活にこたえ、ユノのグラスを、炭酸水で満たした。
