
放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)
第9章 先輩と傷跡
「あの厳格な理事長が野放しにするわけないもんな。どんまい、場所を選ばなかったお前のミスだよ」
くくっとのどの奥で笑う先輩を見て、背筋が寒くなった。
なのに、澄くんはさらりと言う。
「先輩ってバカですよね」
「はぁ?」
「まずじーちゃ……いや理事長が厳格なのは確かですけど、うちのじーちゃん俺に激甘なんで。
今までたしかに叱られてたけど言われたことは、場所を選べっていうとの、避妊はしろってだいたいこの二点」
「はぁ!?」
「あとその動画、児童ポルノって言って未成年のそういう画像を所持することがまず法に触れてくるというか……。
色葉次第なんですけどね。未成年に手を出した俺か、児ポ所持の先輩かどっちを訴えるか。予想してください」
冷静な声が淡々とそう言ってのけた。
「未成年って……だって俺だって未成年だから関係ねーだろ! あれは大人が未成年をってだけで」
「うん、だからそういう常識を知らない先輩ってバカですよね。未成年だろうが大人だろうが一緒ですよ。駄目なもんは駄目」
「……え」
「それにこの件は明らかに警察沙汰ですから。色葉とどうするか決めます。せいぜい、震えながら一晩を過ごしてくださいね。先輩、17か18ですもんね、逮捕かも。早朝、音のしない車両で迎えにくるみたいですよ」
先輩の呼吸が震え始める。
「そんなの……証拠がないだろ!」
「なに言ってんですか。色葉の親族でも双子でもない俺っていうただのクラスメイトの証言があるっていうのに。あと動画も」
がくがくと震える手でスマホを操作する手は動画を削除しているようで、ほっとする。
そんな姿を見下ろし澄くんはとどめを刺すように言った。
「画像って本体から削除したくらいじゃ警察はごまかせませんよ。『復元』って意味知ってますか?」
冷ややかに鋭く睨む澄くんは、
「色葉を傷つけたお前はぜったいに許さねーから」
本気で怒ってる、その迫力に息をのむ。
「色葉、行こ」
変わってあたしに投げかけられるのは、泣きそうな声。
ずっと泣いているあたしにつられているのかもしれない。
お姫様抱っこされて、ぐったりと持ち上げられた体。澄くんはあたしを抱えて相談室を後にした。
くくっとのどの奥で笑う先輩を見て、背筋が寒くなった。
なのに、澄くんはさらりと言う。
「先輩ってバカですよね」
「はぁ?」
「まずじーちゃ……いや理事長が厳格なのは確かですけど、うちのじーちゃん俺に激甘なんで。
今までたしかに叱られてたけど言われたことは、場所を選べっていうとの、避妊はしろってだいたいこの二点」
「はぁ!?」
「あとその動画、児童ポルノって言って未成年のそういう画像を所持することがまず法に触れてくるというか……。
色葉次第なんですけどね。未成年に手を出した俺か、児ポ所持の先輩かどっちを訴えるか。予想してください」
冷静な声が淡々とそう言ってのけた。
「未成年って……だって俺だって未成年だから関係ねーだろ! あれは大人が未成年をってだけで」
「うん、だからそういう常識を知らない先輩ってバカですよね。未成年だろうが大人だろうが一緒ですよ。駄目なもんは駄目」
「……え」
「それにこの件は明らかに警察沙汰ですから。色葉とどうするか決めます。せいぜい、震えながら一晩を過ごしてくださいね。先輩、17か18ですもんね、逮捕かも。早朝、音のしない車両で迎えにくるみたいですよ」
先輩の呼吸が震え始める。
「そんなの……証拠がないだろ!」
「なに言ってんですか。色葉の親族でも双子でもない俺っていうただのクラスメイトの証言があるっていうのに。あと動画も」
がくがくと震える手でスマホを操作する手は動画を削除しているようで、ほっとする。
そんな姿を見下ろし澄くんはとどめを刺すように言った。
「画像って本体から削除したくらいじゃ警察はごまかせませんよ。『復元』って意味知ってますか?」
冷ややかに鋭く睨む澄くんは、
「色葉を傷つけたお前はぜったいに許さねーから」
本気で怒ってる、その迫力に息をのむ。
「色葉、行こ」
変わってあたしに投げかけられるのは、泣きそうな声。
ずっと泣いているあたしにつられているのかもしれない。
お姫様抱っこされて、ぐったりと持ち上げられた体。澄くんはあたしを抱えて相談室を後にした。
