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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第9章 先輩と傷跡

「色葉……大丈夫? 保健室か部室か……理事長室でも……どこかで休む? それとも帰りたい?」



「……っ、は、」


変な薬のせいで息が荒いことを気づかれないようにそっと呼吸を繰り返す。


「……ぶ、しつ……」


やっと言えた言葉に、澄くんは頷いた。


早足で部室棟を抜け、一番奥の手品部の鍵を開ける。


西日が差し込んだ熱気のこもる部屋。


温かくなったソファに寝かされて、余計に体が火照って、汗が伝う。


ピっとエアコンをつける音がした。


「色葉……、なにされた?」


ぐったりとするあたしを見る薄茶色の瞳がぐらっと揺れた。



「そんな目で……見ないで……っ」


軽蔑しないで……。

ぼろぼろと涙をこぼすあたしから澄くんは慌てて目をそらした。


「え……と、目?」


混乱するように、頭を掻いて、


「ごめん。傷つけるようなことだけど言えるとこはできれば教えて。何されたの? 警察には……、いやそれより避妊は? 病院ですぐに薬もらえば避妊できるから!」


焦りながら言葉を並べる澄くんは、いつもの余裕なんか全然なくて。
とんでもないことが起こったって実感がわいてくる。


でも違うの。
まるで、最後までされたみたいに、
そんな絶望の目であたしを見ないで。


「……っし、澄く……」

「え?」

「してないっ……澄くんとしか、」


「な、なに? 落ち着いて」



ぎゅっと体を包まれて落ち着きを取り戻しつつあるのに、股の間に割り込む澄くんの足が太腿にあたっただけでびくんと体が反応する。


「あ……っ、はぁ……っふ、」


「色葉? どうした?」


「薬……媚薬、飲まされ、て……。澄く……」


「え……」


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