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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第11章 放課後の約束

『ではただいまより、二年生向けの進路説明会をはじめます。みなさんしっかり話を聞いて自由に質問してください』


学年主任の先生が進行により、一人目のOBがステージに立って話を始めている。


すぐ右側にある澄くんの存在に緊張は常にしてるし、そわそわするんだけど、動悸のようなものはやっと落ち着いてきた。


「ふー……」


息をはいて、気持ちを落ち着けて。



あらかじめ配られていた大学名と学部、OB・OGの名前が書かれている紙を広げる。


結構多いかも。
二時間も聞くんだもんなぁ……。


そう思いながら紙をポケットに仕舞う。


3人目のOBが終わっても、澄くんは意外と寝ていなくて、その横顔を視界の隅で確認するたびにドキドキした。


『続いては、K大学法学部 吉田 姫芽(よしだ ひめ)さん、お願いします』



体育館がざわついて、思わず顔を上げた。


「美人!」


「なんだあの女子大生! スタイルやっば! Tシャツはち切れそうじゃん!」


「アナウンサーなれるんじゃね? すげー美人!」


という男子の声も。



「ひゃー……すんごいきれい」


というミナたちの声も。


(……大人っぽくてきれいな人)


あたしの憧れのような心の声も、満場一致でステージ上の吉田姫芽さんという女性を示している。



でもひとりだけ反応が全然違った。



「え!? あれ姫芽さんじゃん!」


そう言って指さしたのは、東くん。


「はぁ!? 東っち、あの女子大生と知り合いなの!?」


すでに嫉妬色全開のミナが掴みかかる勢いで東くんに問いただすと、


「ちがう、俺じゃねーよ! すーみ! 澄の元カノだよ! なっ」


珍しく未だ起きている澄くんと、すっと視線が合った。


元カノ?


じゃあもしかして


元カノが講演するから珍しく起きてたの?



このくらいの思考を巡らせられるくらい、目が合ってた。



でも胸が痛くて、苦しくて視線を逸らした。



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