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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第12章 夏祭りと毒林檎

「ほんと肌きれー……。ファンデいらないね。最後にハイライトとかパウダーとかでいいかな、きらきらさせようねぇー」


「うん……」


よくわからないけど頷けば「動くな!」と注意されてしまった。厳しい……。


「量産型はぁーブラウン……ピンク、ラメ、甘々! 今年はラメ~きらきらさせよぉー」


にこにこと楽しそうに、しあわせそうに手を動かすミナがかっこよくて……。


「でーきたっ! じゃーん!! やばくない!? 超かわいいでしょ!!」


鏡を向けられて、目を見開いた。


「……っ、すご、い……。別人みたい……」



ピンクブラウンベースのアイカラー。細かい粒子の輝きが控えめに載る涙袋はいつもよりぷっくり、ちょっと垂れ目仕様。



まつげ命と言われながらしっかりと塗られたブラウンのマスカラで細かな束をつくられてすごく綺麗だ。



くすんだピンクのリップに、つやっとしたラメのグロスを足されたちょっとオーバーラインの唇は……なんだか色っぽい。


上品にいれられたハイライトやシェーディングで入った自然な陰影と、ふわっと横に入ったピンクのチーク。


でも全然濃い化粧とはかけ離れている。



完成形はナチュラルなのに、やりこんでる。



だって濃くないのに全然いつもと違うの。


……これはプロの仕事だと思う。




「ミナ……っ、すごい、ありがとう! どうしよう、泣きそう」


「泣かないでばか! だめ! 小笠原くんに見せるんでしょ!」


「うん、泣かない……! ミナ、メイクの仕事しようよ……。こんなに感動したのはじめて……」


「んもう~! うれしいこといわないでぇー!」



髪型は簡単で可愛いからってことで二人揃ってお団子。


鏡を二人で覗き込む。



「ほーらミナたち超かわいい~! 打倒東っち!」



気合を入れたミナの視線があたしに向かう。


「……だ、打倒、澄くん」



にんっとまんぞくそうに笑うミナとあたしの拳がこつんとぶつかった。


今から、お祭りで……澄くんに会える。


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