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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第12章 夏祭りと毒林檎

「ごめん。俺、手べたべたになったから、手洗ってきていい?」


すぐそこのトイレを指さされて頷いた。


「林檎あめはよごれてないし、持っててくれる? すぐ戻るから東たちんとこ行ってて」



ちょうど二つ隣の木の陰にいるミナたちを見て、「うん」と返した。



でもここから見る限り、ふたりがラブラブに会話してるからもう少しここで待とうかな。


そう思ってすごしていたら。



「うわっ、めっちゃ可愛い! キミひとり!?」


ひょこんと目の前に背の高い男の人が立ちはだかっていて、目を瞬かせた。


だれ?


林檎あめを握る手に力がはいる。


毛先を遊ばせた黒髪。陽極のオーラ。


恐怖が一気にあたしの体を覆い尽くしていく。



「暇なら俺とまわんない?」


首を横に振って、ミナたちの方へ一歩足を進めると、通せんぼのように両手を開かれた。



ドックンドックンと心臓が大きく鳴って、冷や汗が背筋を伝う。


「あ……あ……」



声がうまくだせなくて、手が震えはじめた。



はっきりと蘇る……青井先輩の姿。


この人は先輩じゃないのに、鳥肌が止まらない。


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