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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第12章 夏祭りと毒林檎

耳に押しあたる胸から、どくどくと激しい心臓の音が聞こえる。


聞いたことのある、速い心音。



「もう離さないから。ごめんね」



甘い言葉に感じたの。

だからあたしは聞いてしまった。



「どういう、意味……? もう離さないって……?」


「ひとりにしないってこと」


肩透かしを食らうような返事が聞こえて、視線がおちる。



急激に冷え切っていた体温がもどってきたころ、そっと体が離れた。



「今日の色……姫路さん、可愛くしてきたから、いつもより気をつけないとだよね。ごめん」



「謝らないで……。あたしのせいだから」


「んーん。俺のせいだ。二度としたくなかったのに」



手を繋いで、あたしの少し前を歩く澄くんは、表情を見せまいとしているように感じた。


二度とって、なに?

青井先輩とのことも言ってるの?



「澄くん……あの日、のこと」


もしかして澄くんは、罪悪感を持ってるの?


なんで?
あたしが悪いんだよ?



「澄くん……先輩とのことは」


「ねぇ色葉」



声を遮ってあたしを振り返った澄くんは泣きそうな顔をしていて、思わず息を飲む。


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