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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第14章 夏祭りと朝焼け

「あのね……澄くんとずっと、さっきみたいになりたかったの」


爆弾発言を落とすような表情じゃないだろ、それ。



俺は言葉を探すこともできず狼狽えてしまう。



足をとめた色葉につられて立ち止まると、色葉は真っ赤な顔して俺を見上げた。



「……あたし、ずっと言いたくて……。す、」



す、の口をしたまま、一度止まった色葉は額まで赤く染め上げて、息を吸って吐く。


……なに?


色葉からの緊張が伝染って心臓がバクバクなり始める。


「……あたし、澄くんが、す、好きです……」



確かに聞こえた声。


朝日の眩しさに目を細める色葉は、恥ずかしそうに笑った。



「あの……だから……、その。言いたかっただけです……」



歩き始める色葉の方は見れなかった。



熱くなる頬を隠すように俯きながら俺は思う。



色葉の好きって……本当に俺と同じ好き?



錯覚してない?



舞い上がりたい気持ちを、客観的な視点の冷静な頭が冷ましていく。



……女ってね、セックスすると情が移るんだよ。



そんなことした相手なんだから好きって勘違いするんだよ。



……そんな初恋でいいの?色葉。



ロマンチックな映画をすりきれるほど見ているような子が、いいわけないでしょ。



冷めていく。


夢から覚めていく。



好きな子を大事にできなかった俺が、俺をあざ笑う。



何が、色葉のことが好き、だよ。


だったら、あんなことしちゃいけないだろ。


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