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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第15章 本当の好き

「なんでよ!?」


バンと机が鳴った。


サラが感情的になるのを久しぶりに見る。


ぽろぽろと涙が落ちていく視界で澄くんは、悲しそうに笑った。



「……色葉は綺麗だろ。純粋で。ロマンチックなのが好きで。俺はそれを汚すことしかできないから」


その答えに鼻息を荒げるサラは大きく手を振りかざして、澄くんの頬をひっぱたいた。

――パァンッ


「あっ!」


思わず声が出て、両手で口をふさぐ。


「いってぇ……」


「なんで色葉はあんたみたいな人を好きなんだろう!? なんでそんな卑屈なの? なんで小笠原くんが逃げるの? 色葉に手を出したのは誰!? あんたでしょ!?」



サラは今にも胸倉を掴みそうで、教卓の下から出るか迷ってしまう。



「きれいで純粋な色葉にロマンチックにできなかったからそういってんの? ばかなの? 

じゃあこれからロマンチックにいくらでも演出すればいいでしょこのバァカ!! いますぐ出てけぇ!!」



サラはたしかに、小学生のころから本気で怒るとこうだった。


忘れてた……。


教室を追い出された澄くんの背中をバレないように見つめる。


いつも通りの気だるそうな背中だ。



「サラ……やりすぎだよ……」



「ごめん。なんかもうムカムカして我慢できなくなっちゃった……」


「ふっ、ふふ。もう、澄くん可哀そうすぎるけど……でもありがとう。いつも、いつもサラに助けられてる」


「それはこっちのセリフ。私はいつも話聞いてもらってんのに、色葉になんもできなくて……今日も結局キレちゃってごめん」



「ううん。もう、これでだめならいい。サラのおかげで、気持ちをふっきる準備できたよ」



澄くんの頭を悩ますあたしなら、彼の望むようにしてくれていい。



縁を切りたいなら、あたしはちゃんと諦める。もうすがったりなんかしない。


だって、好きだから。


なによりも大切にしなきゃいけない、彼の気持ちだから。



帰る途中、澄くんの下駄箱を見たらまだ内履きが入っていた。



サラにビンタされてケガしてるかもしれないと思って、絆創膏を二枚入れておいた。



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