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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第16章 好きは、マジック

「ちょっと、澄く……」


あたしの少し先を足早に歩く澄くん。


手を引かれて、ドキドキを抑え込んで、周りから注がれる視線に俯きながらついていく。


たまにちらりと見上げればベージュの後ろ髪が動きに揺れて、大好きな香りがほのかに鼻先をかすめる。


たどり着いたのは……手品部の部室。



「……ふぅ……。はぁ……」


澄くんは深呼吸して、ふっと笑った。


「ちょっと注目あびすぎた?」



全然ちょっとじゃないよ……。


「すっごく浴びたよ……」


くすくすと笑う澄くん。

今から縁を切ろうって話だとすれば、明るすぎる……かな?


少し前向きに捉えた時、


「この前色葉の友達に怒られて、ちょっと目ぇ覚めたっていうか、腹くくったっていうか……。まぁちょっとのんびり話したくて」


話って……いうのは、



「ちょっと待って……それって、縁を切りたい話……?」



「縁……? あ、サラさんになんか聞いた? 縁を切るとかそういう話じゃないよ」



そう言われて、泣きそうなほどホッとした。



「でもあんなに注目されちゃってごめんな。もう秘密じゃなくて堂々としたくなったんだけど、色葉は嫌だったよね」


「……ううん。嫌じゃないよ」


「うそばっか」


……本当なのに。


思わず唇が尖ってしまう。

どうして澄くんはあたしの気持ちをこんなに信じてくれないんだろう。



「手品部の部室に、嘘発見器とかないのかな」


そう呟きながらあたしは、部室に積まれた段ボールを片っ端から開けていく。



「なにしてんの、色葉」


「だって澄くんがあたしの気持ちを疑うから……証拠見せたいんだもん」



「え?」



「この前の、そのサラと澄くんが喋ってた日、実はあたし、盗み聞きしてたんだ」


「……、まじ?」


「うん……」


思い出すだけでしゅんとしてしまう。


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