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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第4章 懐疑的なキス

教室についてすぐ、なぜか少し視線を感じた。


けどあまり気にせず、教科書をしまっていると、


何やら近くの席で集まっている男子の輪から一人が飛び出して、こっちへ駆け寄ってきた。


あたしの机の前に立ちはだかって、にこりと笑う茶髪の男子。


え……、何……?


「おはよー、姫路さん!」


「……おはよう、ごさいます……」


視線を逸らしながら、ゆっくりと顔を下げたとき。


「首の絆創膏って、どうしたの? 怪我?」


その声にすぐに顔を上げた。


「ちが……。虫に、さされて……」


ふるふると首を横にふると、男子は「はぁー……、なんだぁ……」と脱力気味に笑った。



「よかったぁ。そんなん虫刺されだよなぁ!」


ご機嫌な声とともに男子の輪にもどってすぐ、その輪からもワッと歓声が沸いた。



「まじびびったよなぁ! まぎらわしー」


「でも虫刺されで絆創膏はるとこも、逆になんも知らないピュアさが可愛いよなぁ」



……全部、聞こえてるよ。


みんなの目に映るあたしは、恋愛に程遠い人物像なんだろう。


うう、もうあたしの話はやめてほしい……。



俯いて、俯いて、ようやくハッとした。


……小笠原くん、どうしてるかな。


小笠原くんの席をみると、机に突っ伏して寝ているみたい。


……また寝てる。でも聞かれてなくてよかった。



ウブなように見えて本当は昨日俺とエッチしたんだよ、なんてあざ笑われてたら恥ずかしいもん。

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